鉄骨造住宅のメリットとデメリット
鉄骨造住宅の特徴とは
その名の通り、鉄骨を柱や梁として使用して住宅建築を行う鉄骨造。「S造」と呼ばれることもありますが、このSは「Steel」から来ています。古くから木材資源に恵まれてきた日本では、木造住宅が人気ですが、近年では、木造建築にはない特徴をもつ鉄骨造住宅への関心も高くなってきています。こちらのページでは、鉄骨造住宅の種類や、メリットやデメリット等について詳しく解説していきます。
鉄骨造住宅に使われる鉄骨の種類
鉄骨造は、使用する鉄骨にの厚さよって、二つに区分することができます。具体的には、使用する鉄骨が厚さ6mm未満の場合には「軽量鉄骨造」に、6mm以上の場合には「重量鉄骨造」にそれぞれ分類されます。
軽量鉄骨造の場合、柱と梁を筋交いで補強する「鉄骨軸組工法（ブレース工法）」での建築となり、住宅や小規模な店舗の建築に使用されることが一般的です。対して、重量鉄骨造の場合、柱・梁という部材同士が剛接合し、頑丈な枠を使って構造体を支える「鉄骨ラーメン工法」での建築となり、大型のマンションやビルの建築に使用されます。
鉄骨造住宅のメリット
では、鉄骨造の住宅には、どのようなメリットがあるのでしょうか。主なものについて見ていきましょう。
品質が安定している
鉄骨造の場合、建築に必要な部品は工場で生産され、現地では主に組み立てを行います。工業製品を資材とするため、木材と違って品質が安定しており、また、木造建築の場合にそうであるように、組み立てには職人の高い技術が要求されるといったこともないため、仕上がり時の品質が一定している点は、鉄骨造住宅の大きな特徴の一つです。施行ミスが起こる可能性も、それだけ少なくなります。
工期が短い
また、工事着手から完成まで期間が短いのも、鉄骨造の大きなメリットの一つ。鉄骨造の場合、骨組みであれば、数日のうちに完成させることができます。また、工費が少なくなれば、それだけ人件費といったコストを削減することもできます。
優れた耐震性
住宅建築で一般的に使用される軽量鉄骨造の場合、コンクリートを流し込んで構造体を作るRC造と比較すると構造体が軽く、かつ、激しい揺れが起きた場合には、鉄のしなりを利用してエネルギーを逃がすことが出来るため、優れた耐震性を持っています。
開放感のある間取りを実現することができる
鉄骨製の柱と梁を筋交いで補強する鉄骨造住宅は、木造建築と比較すると、構造体を支えるための柱や壁の数は少なくて済みます。そのため、広いリビングや吹き抜け、大開口の窓などをより設置し、開放感のある間取りを実現しやすいというメリットがあります。
シロアリといった害虫の被害を受けない
また、木材を使用せず鉄骨を使って組み上げるため、シロアリといった害虫の被害を受けない、というのも、鉄骨造住宅の大きな魅力の一つ。長い期間、安心して住むことが出来ます。
鉄骨造住宅のデメリット
鉄骨造住宅のメリットについて見てきました。では、反対に、鉄骨造には、どのようなデメリットがあるのでしょうか。主なものとしては、以下の点が挙げられます。
断熱性が低い
木材やコンクリートと比べると、鉄は熱伝導率が高い素材。そのため、鉄骨造住宅は、木造住宅やRC造住宅と比べると、断熱性が低く、外気温の影響を受けやすい、というデメリットがあります。言い換えると、夏は暑くなりやすく、冬は寒くなりやすいということになります。
また、断熱性が低いということは、急激な温度の変化があると、構造体の内部で結露が起こってしまう可能性があるということでもあります。いうまでもなく、水分は鉄を錆びさせます。そのため、鉄骨造住宅には、断熱施工や防湿施工が必須となります。
耐火性能が低い
さらに、鉄骨造住宅は、火災に弱いというデメリットをもっています。住宅建築で一般的に使用する厚さ6mm未満の鉄骨は火に弱く、急激に熱くなると耐力がなくなってしまう性質をもっているためです。そのため、鉄骨造住宅では、耐火被覆材による処理が必須となります。
工費が高い
また、RC造よりは安価であるものの、木造と比較すると建築コストが高いというのも、鉄骨造住宅のデメリットの一つです。また、鉄の原料となる鉄鉱石について、日本はほとんど輸入に依存しており、鉄の市場価格の変動があれば、その影響を受けてしまいます。また、将来的にリフォームや増築を行う場合にも、コストはその分だけ高くなります。
鉄骨造住宅の費用相場
鉄骨造住宅の坪当たりの単価は、およそ一坪あたり50～80万円ほど。木造住宅の場合、相場が一坪あたりおよそ40万円～70万円であり、また、RC造住宅の場合、相場が一坪あたり70万円～100万円であることを考えると、鉄骨造住宅は、木造建築とRC造のちょうど中間くらいの費用がかかることになります。
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